2014年2月2日日曜日

芸術学・美術史って?

photo by:gingber, 2009
文化学科では「美術」を学ぶこともできます。といっても、絵を描いたり彫刻を作ったりする実技を教えているわけではありません。「美術の見方」を学ぶのです。







 「別に教えてもらわなくても、絵とか彫刻とか見て楽しめばいいじゃない」という人もいるでしょう。もちろん、それでも構わないのですが、同じように人物を描いた絵でも、例えば、西洋の絵と日本の浮世絵とは描き方が違っています。また、同じ日本の絵でも、奈良時代の人物表現と鎌倉時代の人物表現は、やはり違っています。そう、美術作品とは、ある特定の時代にある特定の地域に生きるアーティスト(たち)が、主として自分(たち)と同じ時代を生きる人々に、さまざまな視覚的メッセージを伝えるためにつくるものです(「テレビコマーシャル」などは美術作品のそうした側面が単純明快に示される例だと言えるでしょう)。




「美術」は作者を通じて、時代や地域と結びついています。だから、自分の美的センスに頼って見て楽しむだけでなく、作品の背後に潜む時代的特徴や制作者の意図、伝えたいメッセージなどを探って美術作品を味わえば、より深く「味わう」ことができます。文化学科で「美術を学ぶ」とは、このように「深く味わうやり方」を会得するということです。




 美術館に行ってみればわかるように、21世紀の現在、絵画や彫刻など伝統的に「美術」とされていたものだけでなく、漫画や陶磁器、カリグラフィー、写真、映画、アニメ、テレビなど、わたしたちの身の回りには「美術」が溢れています。際限なく広がり、見通しのきかない「現代の美術」のジャングルに分け入って自分なりの見取り図を作ったり、そこに潜むさまざまな「美術作品」の特徴を探ったり、美術を楽しむやり方は一つだけではなく、皆さんの興味と想像力によってどのようにも変化します。



風神雷神図 (俵屋宗達)


 文化学科に3人いる芸術学・美術史の教員は、広大な「美術ジャングル」を隅々まで完璧に理解しているわけではありませんが、そこをしばしば探検したことのある経験豊かなツアーガイドとして、美術に興味を持ってこのジャングルに分け入ろうとする皆さんの興味に沿ったツアープランを提供し、時には道案内もつとめる役割を果たしたいと思っています。

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