2019年12月23日月曜日

「大学での学び」はどのように役立つのか

LC17台 栗山あかり

皆さんは、「学校での勉強なんて役に立たないのではないか」「大学で勉強したことはどう役立つのだろうか」という疑問を持ったことはありませんか? 私自身、「学校で学ぶことなんてほとんど役に立たないよ」という話を聞く機会はよくありましたが、それについて自分自身でよく考えることはほとんどありませんでした。しかし、本当に学校で学ぶことは役に立たないのでしょうか? 今回は、今までの体験を振り返りながら「大学での学び」について検討してみたいと思います。

まず結論としては、入学してからの2年間を振り返ってみると、私は大学で学んだことは学生生活に大きく役立っていると感じています。なぜそう感じたのか、今回はそう考えるきっかけとなった2つの経験を紹介したいと思います。

昨年の夏、私は、「キャリアスクーププロジェクト」(九州経済産業局主催事業、一般社団法人福岡中小企業経営者協会が受託・運営)というプロジェクト型インターンシップに参加させていただきました。このプロジェクトは、「仕事人にドラマあり」というテーマのもと、福岡で働かれている方々を11社取材し、取材記事の作成やプレゼンを行うものです。しかし、11社取材を行うと言っても1人で活動するのではなく、大学や学年の異なる56名の参加者と参加者のサポートをして下さる社会人の方、学生スタッフそれぞれ1名でチームが組まれるため、チームで活動する機会が多くありました。そこで役立ったのが、縄田先生の共通教育科目の心理学の授業で学んでいたことです。その授業では、優れたチーム作りを行うには課題を遂行することや目標達成に向けて支援しあうこと、また精神的にも互いに支援し合うこと、目標と戦略をきちんと共有することなどが大切だと学びました。




そこで私たちのチームでは、こまめにタスクや目標の共有を行い、個人作業となりがちな場面でも、困った際には支え合える環境を作ることで、自他共に認める「いいチーム」として活動することができ、最後のチームプレゼンでは参加者のチームの中で2位入賞を果たすことができました。さらに、心理学を専攻している別の大学の参加者からは、「このチームでは社会的手抜き(集団で力を合わせて課題を行う際には個人の力の総和よりも低い力しか発揮されないという現象)が起こっていない気がする」と言っていただきました。

このようなチーム活動ができたのは、心理学の授業で学んでいたからだと感じています。


また、昨年の11月から今年の3月にかけて、文化人類学のゼミ活動の一環として参加した「万田坑の自由な活用プロジェクト」では、植野先生の共通教育科目の芸術の授業で学んだ知識が役立ちました。このプロジェクトは、世界遺産「万田坑」の知名度を向上させ、興味や親しみを持ってもらうにはどうすればよいのか、学生が主体となって検討し、イベントの実施を行うものです。そして、私が履修した芸術の授業では、九州の世界遺産や近代化遺産の概要などについて学び、その中では「万田坑」も取り上げられていました。「万田坑」について基本的なことを学べていたことは、このプロジェクトを行う上での土台となりました。

このように、私は大学の授業で学んだことが、対外的な社会活動へ参加する際に、非常に役立ったという経験をしてきました。とはいえ、もしかしたら皆さんの中には、「こんなのはたまたまそんな機会があっただけだ」と思われる方もいるかもしれません。しかし、そもそも「大学での学び」とは、授業で学ぶことだけでしょうか? 先ほど私が例としてあげたような学外での社会活動や部活やサークルなどのようなものから得る学びもたくさんあるのではないでしょうか。

私は授業で学ぶことはもちろんですが、学外での活動やアルバイトでも本当にたくさんのことを学ばせていただくとともに、それが社会に出る前に自分を見つめ直すきっかけともなっています。たとえば、先ほどの「キャリアスクーププロジェクト」や「万田坑の自由な活用プロジェクト」のような複数の学外での活動を経験させていただき、自分の未熟さや、これから身につけるべき力、同年代の学生とチームで活動することや一緒に何かを作り上げることの面白さや難しさなどを初めとして、本当にたくさんのことを学ばせていただいています。そしてこれがまたさらに新たな学びを得ることへの原動力となっています。

1年生の頃の私は、「学び」といえば授業で先生の話を聞くことであり、学びに対して受け身であったように感じます。しかし2年生になり、新たなことに挑戦し始め、授業だけでなくそれ以外でも学ぶことがたくさんあるということに気付き、目を向けるようになったことで、授業以外の部分からも主体的に学びを得ようとするようになりました。

今回は学外での活動を例に挙げましたが、授業以外でも学びを得る場はたくさんあります。たとえば「友人との会話」や「アルバイト」など何気ない日常にも目を向けてみれば、そこからもたくさんの学びを得られるのではないでしょうか。学びを得られる場や学び取る内容は、きっと人それぞれだと思います。

このように「大学での学び」というものを、「大学の授業での学び」というものに限定せずに「大学生の時に聞いたこと・経験したことからの学び」だと捉えれば、さらに大学での学びが充実するでしょう。そう考えると、学校の授業で学ぶことはもちろんですが、それだけでなくその時々でできることに挑戦してみることが、よりたくさんの「役立つ学び」につながるのではないかと思います。

皆さんもぜひ「今だからこそできること」や「やってみたいこと」に挑戦してみてください。

2019年12月22日日曜日

第8回 LCアーベントが開催されました

12月3日火曜日の夕方、約一年ぶりに、第8回目のLCアーベントが開催されました。

今回の提題者は、心理学がご専門の一言英文先生で、タイトルは「心と文化の根深い関係」。参加者は学生さんが15名程度、教員が3名。

相対的なものの中にも人間の心の「本質」があるのではないか。多様性を受け入れるにせよ、多様性を受け入れていくメカニズムがあるのではないか――。このような問題提起から、話がスタート。「文化」や関連概念の定義、検討がなされた上で、豊富な事例に基づきながら、感情は文化的なものである、という主張が展開されました。

心は習慣的な行動によって変わっていく。文化的な「思いこみ」を外そうとしても、外せない部分がある。何が許せて、何が許せないのか。「被害者がいなければ、できるだけ個々人の自由を認めるべきである」と考えるのか、そうでないのか。いじめはどのような「場」で起きやすいのか、等々。言葉のレベルではなく、文化によって心が変わっているとすれば、言葉のレベルでは心を変えられない……?

アーベントの終了後は大学近辺で打ち上げが行われ、深夜まで続いた模様。

日頃の講義やゼミなどで、私自身、しばしば「……という考えは絶対ではない。もっと多様であり得る」と偉そうに話したりしているものの、そのような言葉だけでは捉えられず、届かないものがあるのだろう、と改めて思う、今日この頃です。

LC哲学カフェ開催:現代サーカスで哲学する

12月1日日曜、LC哲学カフェが開催されました。今回は列車を乗り継ぎ、福岡市東区千早の「なみきスクエア」へ。午後3時から下記を鑑賞し、その後、施設内の飲食店で議論しました。

 第56回福岡市芸術祭メイン事業
 フィンランド×日本 現代サーカス交流プロジェクト「Air/エアー」
  http://www.ffac.or.jp/ff/(外部サイト)

参加者は学生さんが5名程度、教員が1名。鑑賞前に「サーカス」という言葉でイメージしていたものとはかなり異なる「芸術的」なパフォーマンスで、鑑賞後の哲学カフェでは直ちに「これはサーカスなのか、そもそもサーカスとは何か、現代とは何か」などが話題になりました。琵琶(?)などの「東洋的な」楽器を使った音楽も「サーカスっぽくない」ように感じられるし、とにかく「芸術的」。一つ一つの場面や動作が、何かを象徴している? あるいは解釈しようとせずに、動きそれ自体として見るべき……?

私も未だ、この体験をどのように表現すべきか、うまく言葉が見つからないでいるのですが、いずれにせよ、今まで自分があまり触れてこなかったタイプのものに触れている、という「戸惑い」を覚えたことは確かで、この感覚を大切にしたい、と思ったりしています。

なお、以前もお伝えしたように、大学の外で哲学カフェを開催する際には、大学内での開催の場合と異なり、日程などについては予め、参加希望者の間でのみ相談・告知しています。今後の開催予定などについて興味のある人は、小笠原まで気軽にご連絡下さい。

2019年度「先輩と語る」が開催されました


福岡大学ステップアッププログラムの一環として、11月29日金曜の18時から、A811教室で「先輩と語る」というイベントが開催されました。参加者は学生さんが6名、卒業生が1名、教員が1名。

講師は、2018年度卒業の水落文佳さん。水落さんは現在、福岡で日本語教師として働かれています。イベントではその実体験に基づいて、日本語学校での実際の仕事内容や、教え子たちとの様々なエピソード、さらには在学中の就職活動のことなど、具体的で貴重なお話をお聞かせいただきました。

イベントの後半には質疑応答の時間を設けましたが、イベント終了後の教室でも、参加した学生さんの半数程度が、個別に水落さんに相談して話を聞く、という様子が見られました。日本語教師を目指している人や、目指そうかどうか迷っている人などには、特に有益な会になったように思います。

この「先輩と語る」というイベントは、来年度以降も開催される予定です。興味のある人は、ぜひご参加下さい。

2019年12月3日火曜日

令和2年度文化学演習の所属希望調査について(連絡)

《重要》令和2年度 文化学演習所属希望調査について


◆令和2年度 新2年生(LC19台)・再履修者各位
 令和2年度の文化学演習Ⅰ、文化学演習Ⅱの所属希望について、下記の要領で提出してください。

◆令和2年度 新3年生(LC18台)・新4年生(LC17台)・再履修者各位
 令和2年度の文化学演習ⅢⅣ、文化学演習ⅤⅥの所属希望について、下記の要領で提出してください。

  1. 演習Ⅰ・Ⅱ(LC19台および再履修者)については、配布された「演習所属希望調査票」を前期と後期で各1枚提出してください(再履修を除くと、各自2枚提出)。
  2. 演習Ⅲ-Ⅳ、Ⅴ-Ⅵ(LC18台・LC17台)については、配布された「演習所属希望調査票」を前・後期通じて合計1枚提出してください(再履修を除くと、各自1枚提出)。ただし、再履修の場合は1科目(半期)ごとに1枚提出してください。
  3. 提出先は文系センター棟低層棟1階のレポート提出ボックスです(下記案内図参照)。
  4. 提出期間は 令和2年3月16日(月)~18日(水) 12:00  <厳守> です。提出がない場合や期限に遅れた場合は、教務・入試連絡委員が所属を決定します。 ※何らかの事情で上記の期間中に提出できない場合は、事前に教務・入試連絡委員(藤村・林)へ相談してください。
  5. 決定した演習の所属は、3月21日(土)までにFUポータルと人文学部掲示板で発表します。
  6. 演習所属に関する問い合わせは、教務・入試連絡委員(藤村・林)まで。

※注意事項
  1. 演習ⅢとⅣ、ⅤとⅥは前期と後期で同一教員の演習に所属することになります。
  2. 演習の所属は原則として本人の希望に基づいて決定します。ただし、希望人数が定員を超える場合は、本年度の成績に基づいて調整します。
  3. 各演習の内容については、3月上旬以降にFUポータルでシラバスを閲覧することができます。『文化学科 教員紹介』も参考にしてください。
  4. 登録制限科目を履修する場合、所属する演習の開講曜日・時限と重複しないように注意してください。
  5. 再履修が必要な場合、必要な用紙を別途用意し、「再履修」欄に必要事項を記入して提出してください。
  6. 「演習所属希望調査票」が手元にない場合は下記リンク先からダウンロードしてください。3月には、FUポータルからもダウンロードできるようにする予定です。ダウンロードした用紙は、配布したものと色が違う場合がありますが構いません。