2019年10月29日火曜日

文化学科で学芸員の資格を取ろう!

LC17台 田原 万輝

みなさんは学芸員という仕事を知っていますか?

学芸員とは簡単に説明すると、博物館(美術館・水族館・動物園なども含む)で展示する資料を収集・保管・展示および調査研究し、教育普及活動も行ったりする仕事のことです。

学芸員になるためには、学芸員資格が必要になります。資格をとるためには大学の博物館学芸員課程を履修することが一番メジャーな方法だと思います。(学芸員課程がない大学もあります。)

わたしは、大学生のうちに何か資格を取りたいと思い、博物館や美術館に興味があったので学芸員課程を履修することにしました。

福岡大学では、人文学部の文化学科と歴史学科、理学部で学芸員課程が開設されています。
わたしは文化学科に所属しているので、文化学科の視点から学芸員課程を説明していきたいと思います。

1. 博物館学芸員課程の説明
では、博物館学芸員課程について説明していきます。

博物館学芸員課程の履修は2年生から始まります。1年生の間は、学芸員課程の授業はありません。3年生の後期と4年生の前期には博物館実習があり、実際の博物館で経験をつむことができます。

どのようにして学芸員の資格をとっていくのかというと、大学を卒業するために必要な単位に加えて、学芸員になるために必要な博物館に関する科目の単位を取得していかなければなりません。そのため、学芸員課程を履修していない学生よりも多くの講義を受け、単位を取得する必要があります。この点は学芸員課程の大変なところだと思います。

3年生になる前に、コース選択があります。人文学部では芸術、民俗、歴史の3つに分かれます。一度決めたコースは途中で変更することができないので、慎重に選ばなければなりません。文化学科で学芸員課程をとっている人は、だいたい芸術か民俗のどちらかを選びます。
文化学科でも歴史を選択することはできるのですが、あまりお勧めはしません。なぜなら歴史を選択するのは歴史学科の学生が多く、また、歴史学科では学科の授業で、学芸員過程のコース選択をする前から専門的なことを勉強しているそうなので、歴史学科の学生が歴史を選択するのと、文化学科の学生が歴史を選択するのとでは、かなりの差があるからです。そのため、歴史系の学芸員になりたい方は歴史学科に進学するのがよいでしょう。

2. 博物館学芸員課程の授業内容
ここからは学芸員課程の授業内容について、説明していきたいと思います。

学芸員課程の授業では、博物館法などの博物館にかかわる法律を学んだり、博物館資料を扱うときに気をつけなければならないことや展示の仕方、実際の出土資料の保存処理などについても学ぶことができます。また、学校の中で授業を受けるだけではなく、九州国立博物館などの学外施設に行き、グループで施設の中や展示物を見て回り、話し合ったことをポスターにまとめて発表したりする授業などもあり、様々です。

(見せていただいた九州の出土物)
(九州国立博物館の見どころマップ)

学芸員課程には、現役の学芸員の方や前に学芸員をされていた方などが福岡大学まで来て教えてくださる授業がたくさんあり、リアルなお話を聞くこともできます。

将来、学芸員になりたいと思っている人や、博物館や美術館が好きな人はもちろん、わたしのように何か資格をとりたいという人も、博物館学芸員課程の履修を考えてみてはいかがでしょうか?

2019年10月24日木曜日

第8回 LCアーベント開催のお知らせ

昨年の12月以来、しばらく活動を休止していたLCアーベントですが、第8回目の開催が決定しました。日程と場所、提題者は次のとおりです。

 【LCアーベント】
 日時 12月3日(火)16:20-17:50
 場所 A715教室
 提題者 一言英文 先生(心理学)
 題目 「心と文化の根深い関係」

12月の第一週、火曜5限の時間帯です。昨年の第2回に引き続き、心理学がご専門の一言先生にご発表いただきます。

事前の登録などは不要です。ぜひ気軽にご参加下さい。

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2019年10月5日土曜日

LC哲学カフェ開催:『急に具合が悪くなる』を読んで哲学する(一)

昨日、10月4日の夕方、LC哲学カフェが開催されました。今回は下記の本がテキスト。

 宮野真生子・磯野真穂『急に具合が悪くなる』、晶文社、2019年
 https://www.amazon.co.jp/dp/4794971567/(外部サイト)

参加者は学生さんが5名、卒業生が1名、教員が1名の計7名。予め論点を絞ることなく、本の感想や、この本を読んで考えたこと、印象に残っている箇所などについて自由に話す、というスタイルでスタート。


時に沈黙しつつ、様々な話が出ましたが、以下、その一部です。

.読み始めるのを躊躇していたが、実際に読んでみると、著者は二人とも前を向いている。想像していたのと違い、感傷的な内容ではない。ただし、最後は涙が出る。最後の二通くらい、宮野先生の文体がそれまでと少し変わっている気もする。

.教員の知っている宮野先生の姿と、学生の知っている宮野先生の姿には、ズレがある。授業での宮野先生は「厳しい人」という印象。ピリッとしていて、学生にも自分にも厳しい。メリハリがある。この本を読んで、宮野先生が泣いていた、と知った。そんなに具合が悪いようには見えなかった。

.宮野先生のお父さんについて書かれている部分が、読んでいて辛い。宮野先生はお父さんに腹立たしさを覚えたり、主治医に対するお母さんの質問に苛立ったりしている。なぜ「先生の家族が同じ状態だったら、どうしますか?」という質問が禁じ手なのか、よくわからないし、三つのセクターの話も難しい。

.「100パーセントの患者になりたくない」というタイプの話は、はじめて読んだ気がする。テレビの中の「ガンが治ったら一番に何がしたいですか?」という質問やその答えに「今すりゃええやんか」と呟く箇所が印象的。世の中で当たり前に受け入れられている「患者」の扱い方や「物語」に、宮野先生は苛立っている。この本は「24時間テレビ」的なものとは違う。

.前回の哲学カフェで、宮野先生のような生き方はできるのか、という話が出た。この本でも「自分の人生を取り返す」と書かれているが、難しい。宮野先生は「心がムキムキ」。でも、キツそう。後半で、「患者になってしまえば楽」という意味のことも書かれている。


.「恋愛の偶然に身を委ねることと、自分が病になって周りを巻き込むことはけっこう違う」と書かれているが、どう違うのか。宮野先生は、恋愛を偶然性のポジティブな面、病をネガティブな面、と捉えていたのかもしれない。でも、恋愛でも周囲を巻きこんだり、周囲に迷惑をかけたりすることはあるはず……。

.宮野先生は野球を、偶然性について考えながら観るのか、と思った。「偶然性」が理由で野球が好き? いや、サッカーの偶然性について話したとき、宮野先生は全く興味を示さなかった。偶然性にかかわらず、とにかく野球が好きなのだろう……。

.「勝ちに行く」と書かれている。何に勝つのか、何と戦っているのか。死や病と戦っている。患者になってしまうことなく、哲学者として自分を賭ける。あるいは、この本を書くこと自体が、宮野先生と磯野先生にとっての勝負なのかもしれない。言葉を記し、世界に届ける、という勝負。

.宮野先生は「哲学の基礎Ⅰ」の授業で、「してあげる人と、される人」という仕方で、役割や関係が固定されてしまうことについて論じていた。しかし、役割や関係が固定されることの、何が悪いのか。丸裸の個人がぶつかるのは大変だし、キツい。役割もある程度は必要。宮野先生も、お店の店員さんは「店員さん」として扱っていたはず。あるいは、その関係を超えて、仲良くなっていた……?

10.授業での宮野先生は、100パーセントの「教員」だった? いや、教員100パーセントならば言わないはずのことも、言っていた。「カープが負けて悔しい」など。あえて役割を固定しないことで、そこから生まれるものを大切にする。決めつけることなく、満ち溢れる可能性を妨げない――。

その他にも色々な話題が少しずつ積み重なっていく中、19時半を告げるチャイムと同時に強制的に終了。その後、お腹を空かせた参加者たちは、大学近辺の某居酒屋へ。


当初は、この本のどこかを輪読する時間を設ける予定でしたが、今回は見送りました。この本は引き続き扱っていくつもりで、今度は最初から「輪読会」のような形式にしてみる、という案や、あるいは、この本の参考文献を読んでみる、という案も出ています。

今後、できれば11月と12月に一回ずつ、哲学カフェの開催を。詳細が決まり次第、このブログ上、及びツイッター(https://twitter.com/lccafephilo)で告知しますので、少しお待ち下さい。