2022年2月14日月曜日

おかんめーたー

 「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、社会学の平田暢先生です。


先日、通販サイトを見ていて「おかんメーター」というものを知りました。


これは「トラ柄、ヒョウ柄などアニマル柄の服を持っている」や「カバンの中にかならず飴、正確にはアメちゃんが入っている」、「エスカレーターは右側に立つ」、「マクドナルドの略称は「マック」ではなく「マクド」」、「阪神タイガース愛」など「大阪のおばちゃん」度を、額に光を当てて一瞬で測るものです。近々「おとんメーター」も発売されるとか。


・・・うそを書いてしまいました。すみません。そうではありません。


「悪寒メーター」です。これは単純な体温ではなく「悪寒」、ひどい風邪やインフルエンザに限らずいろいろな病気で発症する不快な寒気の度合を、体表の温度だけではなく深部体温、血中の酸素飽和度などから測定するというものです。

2022年2月7日月曜日

2021年度卒業論文発表会が開催されました

1月31日(月)13時から、文化学科の卒業論文発表会が開催されました。

元々は対面での実施を予定していたのですが、
新型コロナウイルス感染症の急拡大に伴い、
昨年に引き続き今年もWEBEXでのオンライン形式での発表会となりました。

今年は、オンライン口頭発表形式での7件の発表が行われました。

文化学科らしいまさにダイバーシティに富むテーマの卒論が報告され、
最後の平田先生からの総評にもあったとおり、とてもレベルの高い発表会だったと思います。

卒論生の皆さん、お疲れ様でした!
3年生以下の皆さんもぜひ卒論を書きましょう!

2022年1月30日日曜日

リアルってなんだ!?

 「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、哲学の平井靖史先生です。


 最近のガンプラはすごく良くできていて、買ってきてパチパチ組み立てるだけで、スタイル抜群&ぐりぐり可動するかっこいい模型があっという間にできます。大まかにプラの色分けもされてて、塗装の必要もない。すごいなあ。そこでちょっとひと手間かけて、「墨入れ」をしてあげると、さらにリアルに仕上がります。ガンダムの表面で筋彫りされているところに、筆ペンみたいなやつで線をなぞってあげると、本物感が増すんです。筆ペンで済むので片付けもいらないし、お手軽なのでおすすめです…。
 というわけで、今回はガンプラの話を——。というわけではなくてですね、リアルってどういうこと?というお話です。今、ガンプラのリアルって話をしたんですが、ガンダムってそもそも実在しないですよね。いや、今は実在するので(実物大で動くガンダム立像が日本各地に存在します)話がさらにややこしくなるんですが、とりあえずは元がフィクションだという意味です。例えば元が実在する…そうですね、ルンバにしましょう。お掃除ロボットルンバ。さて、ルンバのプラモデルがあるとしましょう。5分の1スケールとか?その場合、ルンバのプラモをリアルに作るというのは、おうちで働いているあの実在のルンバに似せていくという意味合いですよね。ところが、ガンダムは、それがないわけです。地球連邦軍が作った、アムロが乗ってる「あの実在のガンダム」はないわけです。オリジナルが存在しないモデルについて、それがリアルだとかそうじゃないって、いったいどういう意味なんでしょうか。 

2022年1月21日金曜日

幸福と運

 「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、哲学・倫理学の林誓雄先生です。


 ここ数年,飲み会がらみのブログ記事ばかりで,こいつはまともに教育・研究をしていないのではないか,と思われかねない状態である。そのため(もはや手遅れかもしれないが),さすがに今回はゼミのことについて,少しだけ(まじめに)書いてみることにしたい。

 今年度の後期ゼミは,思想系(哲学・倫理学)のゼミであるにもかかわらず(?),ありがたいことに,なんと15人もの方が配属希望をだしてくださった(ゼミの人数としては,過去最大・ちょっと多すぎかしら汗)。さてそのゼミでは,共通テーマを設定し,15人を5人*3グループに分けてグループワークをしてもらったのだが,取り組んだテーマの一つに「幸せ・幸福」というものがあった。哲学・倫理学においては,王道中の王道テーマの一つである。

 とはいえ,人類が二千年以上取り組んできてもなお,答えが見えてこないこのテーマに,ぼんやりと取り組んでいては結論など出るはずもない。そのため,もう少し絞り込んで,次のような「問い」に,答えを与えてもらうことにした(それでもまだ,あまり絞り込めていなかったのだけれど)。

2022年1月13日木曜日

2021年度 卒業論文発表会のお知らせ(WEB開催)

下記の要領で,文化学科の卒業論文発表会を開催いたします。

発表者のみならず,文化学科の学生は全員参加できます。ぜひ遠慮なくご参加下さい。

1-3年生の皆さんも,卒論で先輩がどのようなことを研究して卒業していくのか,自分が卒論を執筆する上で参考になります。

4年生で自分は卒論を書いていないという方も,同級生の友人が大学での最後に発表する卒論発表をぜひご覧になって下さい。

2021年12月17日金曜日

フィールドワークでの不思議な体験

「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、文化人類学・民俗学の中村亮先生です。


 タンザニアのキルワ島という小島で足掛け20年間、文化人類学のフィールドワークをしている。その間にいろいろな経験をした。嬉しかったり、腹が立ったり、怖かったりなど。マラリアで死にかけたこともあったが、今ではどれも「思い出」である。しかし一つだけ、いまだにきちんと消化できない、とても不思議な出来事があった。それについて書こうと思う。

2021年12月7日火曜日

中国古代における「記憶」とは?――石に刻み、体に刻み、心に刻む

 「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、哲学の中村未来先生です。


 昨年度より、「記憶と社会に関する思想的研究」というテーマで、哲学・倫理学領域の先生方との研究会に参加しています。「記憶」というテーマは、中国古代では、あまり取り上げられることのなかったテーマのように思われますが、今回、古典を読み直すことで、新たな気づきがありましたので、ここに少し紹介したいと思います。

 儒家の祖と言われる孔子の言行録『論語』には、次のような言葉が見えます。(注1)

・子曰く、黙してこれを識(しる)し、学びて厭(いと)わず、人に誨(おし)えて倦(う)まず。何か我に有らんや。(老先生の教え。〔理解したことを〕黙って心に刻んで記憶し、学んで厭きるということがなく、人に教えて倦むこともない。それらは、〔他人と異なり〕この私において問題はない。〔これ以外、私に何があるだろうか。〕)(『論語』述而篇)
・子曰く、蓋(けだ)し知らずして之を作る者有らん。我は是れ無きなり。多く聞きて其の善き者を択びて之に従う。多く見て之を識(しる)すは、知るの次なり。(老先生の教え。思うに、〔その問題について〕本当に理解することなくして、新説を作り出す者がいる。しかし、私はそういうことはしない。まず可能なかぎり多くを学んで、その内のこれぞというもの・ことを選び取り、それに従う。〔作り出したりしない。また、〕可能なかぎり多く資料に当たり、それらを記憶するというのは、理解する(知る)ことの前段階なのである。)(『論語』述而篇)