2015年7月27日月曜日

第九回「マンガde哲学」開催


すっかり報告が遅くなってしまいましたが、7月11日土曜日、今月の哲学カフェが開催されました。今回の参加者は在学生が三名に卒業生が一名、教員が二名の計六名。参加人数は少なかったものの、しかし「衆の少なきを憂うること莫れ」。実際、かなり活発な議論の交わされた回となりました。

今回の題材は、かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』の一場面。日本での衆議院選挙前、テレビで四つの党の党首が対決。司会役のジャーナリストが最後に、次のような問いを投げかけます。

今、あなたの乗ったボートが遭難して海を漂流している。生存者は10名。この中の一人に伝染病感染が確認された。その伝染病は、感染すれば死に至る病。このまま放置しておけば、他の九人全員が感染する恐れがある。そして今のところ、ボートが救助される見込みはない――。

 「あなたがこの10名のリーダーだとしたら、どんな行動をとられますか?」

やはりリーダーとしてその一人を海に下ろすべき、さらに感染が広がるのを防ぐべき、という意見もあれば、上記の問題設定を疑う意見も。そもそも本当に感染しているのかどうか、感染すれば死に至るのかどうか、100パーセント確実ではない。他方、それら不確実な要素を考慮しつつ、そのときリーダーとして何を決断するかが問われているのだ、という意見も。

多数決で決めるべきか、感染者本人の意志で決めるべきか。この10人の関係次第で答えが変わってくるのか、変わってこないのか。もし感染者を海に下ろしたとして、その後の九人はうまくやっていけるのか。リーダーとして自分の決断の責任をとるとして、しかし責任なんてとれるのか……。

多数のために少数を犠牲にすることは許されるのか。オメラスの町のために一人の子供を部屋に閉じこめる、という小説の話や、サバイバル・ロッタリーの思考実験。リーダー論や民主主義論。ルールと人間との関係、等々が問われる中、やがて六時を告げるチャイムと共に、いつものように議論は強制的に終了となりました。

さて、前期の哲学カフェは以上。夏休みを挟んで、九月には再びビブリオバトルが開催される予定です。「マンガde哲学」も既に九回を数え、気づけば、LC哲学カフェの活動もそろそろ一年を迎えます。

約二ヶ月後、「隣は何をする人ぞ」と気になり始める頃、ぜひ哲学カフェで夕方のひとときを。

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