2017年3月23日木曜日

2016年度ゼミ研修報告

 今年度13回目の学生記事をお届けします。12回目に引き続き、文化学科4年生の植田舞香さんが昨年11月に行われた、ゼミ研修旅行について報告してくれました。


2016年度 ゼミ研修報告
LC13台 植田舞香

 2016年11月4日、穏やかな秋空のもとゼミ研修が実施された。もともと9月に予定されていたが、台風の影響により中止となり、あらためて11月の実施となった。

 午前9時、フタバ図書福大前店近くの福岡大学B校地を出発、山口県美祢市の秋吉台・秋芳洞(あきよしだい・あきよしどう)に向かう。途中、関門橋上り線のめかりパーキングエリアで休憩する。建物の屋上からは関門海峡を眺望できる。休憩を終え、お昼前に秋吉台・秋芳洞に到着をする。駐車場近くの食堂で昼御飯を食べ、秋芳洞へ向かう。

 石灰岩のような可溶性の岩石からなる地域では、雨水や地下水による溶食作用の結果、特殊な地形が形成されるが、この地形が最も早く研究されたスロベニアの石灰岩地域の名をとって、カルスト地形と呼ばれているが、秋吉台・秋芳洞はその代表例である。ここでは、地下では鍾乳洞、地上ではカレンフェルトなどの特徴的な地形が広がっている。

 秋芳洞の奥行は約9kmであるが、そのうちの約1kmが見学可能である。秋芳洞の中に入ろうとした我々を最初に出迎えてくれたのは、宝石のように美しく水色に輝いて地上に出現した地下水と、ぽっかりと開いた巨大な洞への入口であった。その景色に感嘆しつ洞内へ足を踏み入れて行くと、そこにはとてつもなく広大な空間が広がっていた。洞内すべてが見どころ満載であるが、なかでも「百枚皿」は、階段状になった多くの石灰岩の皿に水が蓄えられた特殊な地形であり、また、高さ15m、幅4mの巨大な石灰華柱である「黄金柱、こがねばしら」は圧巻であった。洞内の天井から流れ落ちる地下水が壁を伝い、その部分へ石灰分が付着し、何万年もの年月をかけて築き上げられた。一滴一滴の水が静かに、また確実に積み上げてきたものの大きさを物語る姿をしていた。秋芳洞にあるすべてが非日常的で幻想的であり、日頃の喧騒を忘れさせてくれるものであった。

 自然の営みの雄大さに触れた後、福岡県苅田町の日産自動車九州(株)の工場に向かう。日産自動車九州(株)は1975年の創業から今年で41年目を迎えた。年間約53万台の生産能力をもち、工場敷地内の専用埠頭からは国内外の顧客に車が出荷されている。生産されている車は自家用車である。

 ゲストホールに到着すると、多くの小学生たちであふれ、展示してある車に乗って大はしゃぎであった。工場内見学の前に日産自動車(株)の最高経営責任者であるカルロス ゴーン氏の挨拶ビデオを見る。ビデオを見た後、広報担当者に案内をされて工場内を見学する。自動車業界は技術力を競っており、工場内での撮影は禁止であった。

 車の生産は顧客からの受注生産であり、したがって生産ラインには同じ車であっても座席が異なる、車体の色が違うなど、多様な車が並んでいた。また、車の組み立てにおいてはコンピュータ制御のロボットが活躍していた。一方で、人の手による仕事が求められる繊細な部分も多く存在していた。そこでは従業員の方が効率よく正確に作業できるように道具箱の位置や中身を調整するなど、多くの工夫がみられた。工場の外では自動運転の車両が建物から建物へ部品を運んでいた。

 日産自動車(株)のテレビ広告に、歌手の矢沢永吉氏による「やっちゃえNISSAN」がある。この広告は「人々の生活を豊かに」というビジョンのもとに、現在さらに将来にわたる自動車生産の取り組みを象徴したものである。具体的には、従来、日産自動車(株)は「技術の日産」といわれてきたが、新技術の開発に果敢に挑戦して、「走行中の排気ガスを無くす」「日産車による死亡重傷事故を無くす」という目標を掲げているのである。そして自動運転技術を2020年までに段階的に導入することを宣言して取り組んでいるのである。

 現代の日本において車はあまりにも当たり前のものとなっているが、その裏には様々な努力があるということを工場見学を行って改めて知ることができた。その努力があるからこそ、車の技術は日々進化しているのだろうし、その結果として私たちの生活もより豊かになっているのだと感じた。

 工場見学を終えて、大学への帰途についたが、今回のゼミ研修では、自然の壮大さと人間の技術の偉大さに痛感させられた。


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