2016年9月21日水曜日

平成28年度LCガイダンスゼミナール

9月17日土曜日、中央図書館の多目的ホールを主な会場として、今年度のLCガイダンスゼミナールが開催されました。当初は4月開催の予定でしたが、地震のために延期。後期の開始直後、9月の開催となりました。

今年度のテーマは「文化学科で考える『しあわせ』」。せっかくの土曜日、しかも三連休初日の朝から図書館に集められ、一日中ゼミに参加させられて何が「しあわせ」だ、という怨嗟の声も聞かれる中、冒頭、二つの講義からスタート。

機材トラブルでブログラム記載の順番が変更になり、最初は文化学基礎論(一年生必修の講義、前期開講)の担当教員による講義から。課題は「最も幸せな人生とはどのようなものか?」。前期の文化学基礎論の授業内容を復習しながら、各教員がこの問いを考えるためのヒントを。最も幸福な人生を送るためには最も不幸な人生を経験しなければならない? 幸福は相対的か普遍的か、幸福と時間の関係、永遠の命は必要か不要か、美術表現に見る幸福、等々。

続けて二つ目は、文化人類学の髙岡先生による講義。鮭の加工場に注目したドキュメンタリ番組を題材に、「フィールドワーク」という調査方法について説明され、「幸福をテーマにテレビ番組提案票をつくってみよう」という課題が出されました。

同じ「しあわせ」というテーマに、一つ目の課題が抽象的な仕方でアプローチしようとしているのに対し、二つ目の課題は具体的な現場に注目。講義後、この二つの課題が一年生たちの各グループに割り当てられ、それぞれのグループが図書館内の指定された場所に移動して、グループ作業が始まりました。昼休みを挟みつつ、サポートの上級生と一緒に、タイムリミットまでに発表(10分間)の準備を。なかなか意見が出ずに苦しんだり、逆に様々なアイディアが出てまとまらなかったり。中には、常に笑い声の絶えないグループも。


午後2時半、再び全員が多目的ホールに集合し、まずは前半、髙岡先生からの課題に取り組んだグループが発表。手書きのレジュメをスクリーンに映しながら、日本人と外国人の休日の過ごし方を比較する、元暴力団の人々にインタビューする、インドにある日本人宿「久美子の家」を取材する、お笑い芸人に関するドキュメンタリを作る、等々の番組企画が説明され、質疑応答が行われました。

10分の休憩後、後半は、文化学基礎論の課題に取り組んだグループの発表。幸福を感じるためには不幸を感じることが必要、永遠の命は不要、ストレスあっての幸せ、幸福は相対的なもの、「幸福>不幸」であることが幸福、等々の主張がされ、質疑応答。お互いの主張が対立しているように見えた二つのグループが、少し議論した結果、直ちに「同じです」と合意に達する場面も。

すべてのグループの発表が終わった後、残り時間で全体討論。或る教員から、仮に「幸福を感じるためには不幸を感じることが必要」と言えるならば「不幸を感じるためには幸福を感じることが必要」とも言えるのか、「幸福を感じる」と「幸福である」は等しいのか、という二つの問題が提起され、一年生や上級生が何とか答えようと挑戦。

その後、講義を担当した教員たちが講評のコメントを述べ、一日がかりの長いゼミもようやく終了。例年、このゼミの後には新入生歓迎会が待っているのですが、今年度の新入生歓迎会は既に6月に開催されたため、そのまま解散となりました。

発表の10分を使いきれずに苦戦したグループも多く、また、テレビ番組の企画を「しあわせ」に結びつけることや、「最も幸せな人生」の「最も」という部分について考えることにも苦戦したようで、色々と課題は残ったかもしれません。しかし一日中、ともかく一つの課題に取り組み続けた、この経験には十分な意義があります。かつ、このゼミはあくまでも「ガイダンス」。これから文化学科で何をどのように学んでいくのか、参加者に幾らかでもイメージをつかんでもらえたならば、このゼミは成功だったことになります。

未だ大学生活は始まったばかり。古人曰く、Festina Lente(ゆっくり急げ)、です。

最後に、ゼミを手伝ってくれた9名の上級生に心から感謝を。一年生の皆さんは来年度以降、今度はぜひサポートの側でこのゼミに参加して下さい。

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