LC16台 田才実来
1月29日、文化学科の卒業論文発表会が開催され、私は初めて足を運びました。本年度は口頭発表とポスター発表の2つの形式で行われ、先輩方へ質疑を行ったり、自分の意見や感想を述べて議論することができ、大変有意義なものとなりました。
口頭発表で印象に残ったものは、人間と人工知能の境界線について、将棋を題材に哲学の観点から考察した論文です。発表者は、その境界線は能力と感覚であり、経験や時間、意識などの違いにも結び付いていると述べられていました。しかし、発表後の質疑応答で、感覚は脳の部分で制御できない、言語的に表現できない部分が現れたものであり、人間と人工知能との違いは、その感覚を進化で獲得し身体化してきたかどうかであると、心理学の観点から感想を述べられた先生もいらっしゃいました。発表者は、質疑に対して自分の考えを筋道立てて自信を持って応答されていたので、その立ち振る舞いが大学生活の集大成を物語っているように思いました。
発表会全体の中で私が一番印象に残ったものは、心理学の観点から考察した、「食品の色彩が食品の評価に与える影響」というテーマの論文です。食品の色彩には自然性は影響しておらず、典型性が大きく影響していると考察されていました。例えば、自然性のあるブドウやリンゴは紫色や赤色といった所有の色だけではなく、黄緑色のブドウや黄色のリンゴでも美味しそうと感じ、色彩の許容範囲が広いです。それに対し、典型性を持つ加工食品は色彩の許容範囲が非常に狭いです。例えば、プリンは黄色のみを美味しいと感じ、黄色以外の色(ピンク色や青色など)のプリンは不味そうだと感じます。このような食品への評価について、紫色のプリンを提供されたら不味そうと感じるのに、「紫芋使用」と表示されていたら、色彩に関わらず美味しそうと感じるのは典型性があっても不思議だと、発表者と意見を交わしました。
また、テーマ設定の動機やデータをどのように収集して分析したのか、やりたかったけれど出来なかった事などもお話しして下さいました。
文化学科の卒業論文の特徴は、自分の好きな事や興味・関心のある事について、哲学、宗教、美術など多様な分野・角度から考察できることであると考えます。そのため、この卒業論文発表会は、その分野からの観点で考察をするゼミとは異なり、多様な視点や思考を持っている人が一堂に会し、議論をするので、興味・関心の幅が広げられる貴重な会だと思います。また、あらゆる物事を1つの面からだけでなく、多方面から様々な角度で捉えることにより、可能性が広がること、探求心や好奇心が深まること、凝り固まった思考に刺激を与えて新たな発見と知識・思考を構築することの大切さや楽しさを改めて実感しました。
大学生活の集大成である卒業論文を納得のものが執筆できるよう、そして、私も来年には同じ発表会の場に立つよう頑張ります。
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