2017年2月27日月曜日

卒業論文執筆を終えて(LC13台 植田舞香さん)



今年度12回目の学生記事をお届けします。文化学科4年生の植田舞香さんが卒業論文を執筆し、完成するまでの経緯について報告してくれました。



卒業論文執筆を終えて
LC13台 植田舞香



 今回私は、『女性誌にみる「女らしさ」』という題目のもと、卒業論文を執筆しました。その内容や過程をここでお伝えすることで、後輩のみなさんの参考になればと思います。

◆論文の内容

 現代日本の女性誌(ファッション誌)における「女らしさ」の出現について二つの方向から研究しました。
  ひとつは、「女ことば」ということばの出現から、そこにあらわれる「女らしさ」を明らかにしていきました。ちなみに「女ことば」とは、「~だわ」などのような主に女性が文末に用いることばのことです。この「女ことば」の歴史や雑誌に実際にあらわれる回数について調べていきました。
  もうひとつは、雑誌の中に頻出する特定の単語に注目することで、雑誌の中で求められている「女らしさ」について考察しました。例えば、「大人っぽい」や「可愛い」などの単語がどの雑誌にどの程度みられるか、調べていきました。
卒論発表会で質問を受ける筆者


◆ 研究内容の決定

 私はもともと「日本語」に興味があり、卒業論文も「日本語」についてのものを執筆したいと思っていました。そこで卒業論文相談会の時に、以前からゼミなどでお世話になっていた宮野真生子先生に相談をしました。「言霊信仰について」や「配慮表現について」など、いくつか候補がありましたが、最終的に今まで調べたことのなかった「女ことば」に着目して研究していくことに決めました。また、「女ことば」を研究していく上で、女性誌という女性をターゲットにしたメディアを用いることで、自分の論文に独自性が生まれると思い、女性誌に注目していきました。



◆執筆初期

 まずは、参考になりそうな書籍を探すことからはじまりました。先行研究について調べてみることで、自分が疑問に思う部分や深めていきたいと思う部分が明確になっていくと思います。また私の場合は、様々な種類の雑誌を読んで、どの雑誌を参考にしていくか決定していく作業も同時に行っていきました。
卒論発表会にて宮野ゼミメンバーと

   続いて、宮野先生のご指導のもとおおまかな構成を決めていきました。これは、「問題背景」「先行研究とその批判」「問題提起」「研究目的・方法」を決めていく作業でした。実はここが一番重要なポイントだったように思います。これらの基本的な筋道がしっかりとしていることで、その後の論文制作がやりやすくなると思います。


◆執筆中期

 執筆が本格的になり、先行研究について具体的にまとめたり、自分独自の研究がはじまったりしていきました。私の場合は、雑誌における「女ことば」の数をひとつひとつアナログで数える作業があり、それは大変な部分でもありました。しかし、この作業が自分の論文の新しさに繋がると思い、妥協せずに作業を続けました。

◆執筆後期

 提出日が近くなっても、私は「女ことば」を数える作業がまだ完了しておらず、それによって自分の論文の結論をどうしていくべきか、なかなか決められずにいました。論文を書き始めた当初は、時間は十分にあると思っていましたが、実際は論文をより良いものにしていくのにはかなりの時間が必要だったと痛感させられました。私の卒論ゼミでは、卒業論文提出締切日の前の日に提出を完了させて、その日の夜に打ち上げをすることになっていました。提出する前の日は、情けないことに徹夜をして、なんとか完成させました。しかし、最後まで妥協せずに書き上げたことで、自分の中で納得して提出できたことはよかったです。おかげで、打ち上げのごはんもおいしく食べることができました(笑)。

◆卒業論文執筆を終えて

 私は卒業論文を書いたことで、色々なことを学ぶことができたと思います。もちろん、研究した内容に関しての知識もつきましたし、効果的な文章の書き方なども知ることができました。そして何より、自分が論文を書いたことによって明らかになった事実があったことも嬉しかったです。
 先行研究にないことをしていくのは、大変なことであるかもしれません。しかし、その部分が自分の論文のオリジナリティになっていくと思うので、妥協せずに研究してほしいなと思います。論文を書く機会は、人生においてあまりないことですし、書かなかった人よりかは確実に自分の身になるものがあります。単位のためでもあるかもしれませんが、何よりも自分のために卒業論文に取り組んでみてほしいです。
 最後に、今回卒業論文執筆のご指導をして下さった宮野先生と一緒に切磋琢磨してくれた宮野卒論ゼミのメンバーに感謝申し上げます。

卒論発表会終了後のひとこま












2017年2月14日火曜日

推奨研究プロジェクト主催 林誓雄『襤褸を纏った徳』書評会


 文化学科教員の林誓雄先生と平井で「時間の哲学と倫理学研究」という推奨研究プロジェクトを遂行しています。このたび、このプロジェクト主催にて、林先生のご著書

襤褸(ぼろ)(まと)った徳  ヒューム 社交と時間の倫理学』

 (2015,京都大学学術出版会)の書評会を開催いたします。同書は、林先生のご専門であるヒューム倫理学を、とりわけ「私たちの道徳判断において時間がどのような役割を果たしているか」という新たな角度から論じた、たいへん密度の高い研究書です。この書について、いくつかの異なる角度から、質疑を通じて理解を掘り下げることが出来れば幸いです。普段の教室での姿とは違う林先生が見られるかもしれませんよ。
 熊本大学から、現代倫理学がご専門の佐藤岳詩先生と同大学四年生の中根杏樹さんをお招きし、福岡大学からは四年生の荒巻俊介さんと平井が各章を担当します。
 書評会という性質上、書籍を前提とした議論になりますが、聴講は自由です。なお質疑担当者からは当日レジュメの配布があります。




推奨研究プロジェクト「時間の哲学と倫理学研究」主催
 林誓雄『襤褸を纏った徳』書評会


・日時:3月1日(水)14:40〜17:20
・場所:福岡大学 A棟8階 A811教室

  詳しいプログラムは下記チラシをご参照下さい。

2017年2月8日水曜日

卒業論文発表会に参加して

 今年度11回目の学生記事をお届けします。文化学科3年生の本田愛梨沙さんが、卒業論文発表会に参加した感想を報告してくれました。


卒業論文発表会に参加して
LC14台 本田愛梨沙

 2017年1月28日、人文学部文化学科の卒業論文発表会が開催されました。発表会には初めて足を運びましたが、想像以上に来場者が多く驚きました。発表は昨年から導入されたポスター形式のみでしたが、ポスターの前に行くと論文の内容を先輩から直接聴くことができました。そのため、いつきても興味ある論文の発表を聴くことができる上に、先輩方と距離が近いので気軽に質問することができました。

 わたしは心理学、哲学、倫理学と3分野の論文発表を聴きました。ただ一口に哲学といっても恋愛や時間の概念など種類が様々です。漫画を具体例に出しそこから考察をしたり、時間や空間など実態のない概念について考察したりと文化学科ならではの多種多様さだなと実感しました。

 わたしがいちばん、心に残っているのは心理学の犯罪心理についての論文です。人質立てこもり事件に関する失敗と成功の要因についてというテーマで、警察側の視点でどのような時に人質立てこもり事件で被害者をださないか、あるいは救出に失敗してしまうかということを考察してらっしゃいました。まず、人質立てこもり事件の失敗と成功を定義と犯罪の動機とその動機ごとの救出のしやすさ、先行研究などついて説明し、その後統計解析を用いて結論を導いたことをお話ししてくださりました。その先輩は過去20年分の新聞記事から人質立てこもり事件について情報を集めており、卒業論文の地道さや大変さを実感しました。

 文系、特に多種多様な文化学科では一定のゴールが定めにくいですが、卒業論文を書くことで文化学科で何かを学んだと胸を張って言える根拠になるのではないかと思いました。先輩方のような素晴らしい論文をかけるか不安ですが、わたしも1年後、この発表会の場に立てるよう頑張りたいと思いました。