2018年6月30日土曜日

宮岡ゼミ紹介(LC15台 竹内裕也さん)

今年度2回目の学生記事をお届けします。文化学科4年生の竹内裕也さんに、文化学演習Ⅴで所属している宮岡真央子先生のゼミを紹介してもらいました。宮岡ゼミの魅力だけでなく、今後の就職活動にも活かせるゼミでのディスカッションの様子などを、興味深く記述してくれています。


宮岡ゼミ紹介
LC15台 竹内 裕也

 みなさん、こんにちは。文化学科4年の竹内です。この記事では、私が所属している宮岡ゼミの紹介をしたいと思います。

 宮岡真央子先生は、台湾の先住民研究を専門とする文化人類学者です。ゼミでは、マーゴ・デメッロ著『ボディ・スタディーズ―性、人種、階級、エイジング、健康/病の身体学への招待』(晃洋書房、2017年)という、身体にまつわる文化ごとの違いや様々な研究についてまとめられた文化人類学のテキストを使用し、章ごとに担当を決めて議論を交わしています。たとえば先日の授業では、入れ墨やピアスについて、受講者各々がどういった考えを持っているかや、以前『クレイジージャーニー』(TBS)という番組でも取り上げられた「ボディサスペンション」と呼ばれる行為について話し合いました。

 「ボディサスペンション」とは、自分の体をフックで吊るす行為のことです。少しグロテスクな写真もありますので、そういったものが平気な方はぜひ検索してみてください。ボディサスペンションを行う人は、日常では味わえない刺激を求めて参加する人が多く、70歳を超えて何度も参加している人もいたり、結婚式に行う人もいたりと、多岐にわたるそうです。ゼミの議論では、「痛そうだから絶対にやりたくないし見たくもない」という意見が多い中、数人は「自分もやってみたい」と主張し、意見が分かれました。ちなみに私は反対派で、傷跡がしばらく残ると聞いて絶対にやりたくないと感じました。


 宮岡ゼミでは、こうした議論ができるのが魅力です。宮岡先生は、台湾の研究はもちろん、様々な文化研究に対する知識が豊富で、その知識を議論が行き詰まったときに披露してもらえます。時に話が脱線することもありますが、テレビやインターネットではなかなか知ることのない話を聞くことができて、とても面白いです。異文化研究は、これまで知らなかった世界を知ると同時に、自分たちが暮らしてきた生活を見直す機会にもなり、それも魅力の一つです。またこれは4年生ならではの視点になりますが、ゼミで議論することは、就活においてグループディスカッションや面接で自分の意見を述べる練習にもなります。宮岡ゼミでの議論はとても自由なので、発表が不慣れという方にもおすすめです。


 また、年に一回、学校の費用でバスを貸し切って資料館や博物館、観光地を巡ったりするゼミ研修もあります。昨年は、佐世保にあるカトリック教会や平戸の海軍博物館に行ったり、佐世保バーガーを食べたりしました。ほかにも語りつくせないほどたくさんの魅力が宮岡ゼミにはあり、楽しいゼミだと思いますので、少しでも興味を抱いていただければ幸いです。

 この記事が、高校生のみなさんには文化学科について知る機会になり、さらに在学生のみなさんには、今後のゼミ選択の参考として少しでも役に立てばよいと思います。


2018年6月13日水曜日

ビュールレコレクション展(浦上雅司先生)

平成30年度第4回目の「教員記事」をお届けします。 西洋美術史の浦上雅司先生です。オススメの展覧会の情報について、ご寄稿いただきました。



ビュールレコレクション展


浦上雅史(美術史

現在、太宰府にある九州国立博物館では、「ビュールレコレクション展」が開催中です(7月16日まで)。「至上の印象派展」と副題にあるように、印象派の優品が多く展示されています。主催者が目玉作品として推奨するのは、ポスターにもあるルノワールが描いた8歳の子どもの肖像画ですが、それだけでなく、モネの大作《睡蓮》やゴッホの《マロニエ》、セザンヌの《赤いチョッキの少年》など、それぞれの画家の特徴が良く出た作品が並んでいます。セザンヌでは最初期の《聖アントニウスの誘惑》など珍しい作品も並んでいます。
わたし(浦上)は、植野先生と一緒にゼミの学生を連れて6月9日の土曜日に訪れましたが、週末にもかかわらずさほど混んでおらず落ち着いてユックリ鑑賞できました。お勧めの展覧会です。ビュールレコレクションはスイスのチューリッヒにあり、この機会を逃すとまず見ることはできないような作品が多くあります。機会があればゼヒ訪れてみてください。
 ちなみに、常設展(文化交流展示)には、16世紀から17世紀初頭にかけての南蛮美術の展示があり、これも興味深いものです。ビュールレ展を見れば、こちらのチケットも着いてきますから、これもお見逃し無く!
(6月13日)

□浦上先生のブログ記事

2018年6月12日火曜日

文化学科の留学生活(LC15台 古 卓朗さん)

今年度1回目の学生記事をお届けします。LC15台の 古 卓朗さんが、留学生として来日し,文化学科で学び経験したことを紹介してくれました。



文化学科の留学生活
LC15台 古 卓朗

 皆さん、こんにちは! 文化学科4年生の古です。留学生として、文化学科に入学してから経験したこと、そして勉強したことをシェアしたいと思います。
 私は香港出身で、2014年に来日し、2015年文化学科に入学しました。驚いたのは、文化学科の中で留学生は私のみだったことです。しかしそのおかげでたくさんの同期の友達ができました。外国人が日本で勉強する際は、友達が作れるかどうかは心配の一つです。文化学科の皆は、私に対して優しくて非常に大切にしてくれましたので、入学時の不安はすぐになくなりました。さらに新入生のためのガイダンスゼミナールや歓迎会 (今年度のものはこちら)なども行われ、その機会を通じて先生たちとも話し合えて、同級生と一緒に発表を準備しながら、お互いの関係を深めることができたのは、留学生の私にとって、とても楽しい経験でした。
 文化学科の一つの特徴は、1年生から4年生まで毎年、演習形式のゼミがあることです。特に、2年生からは、自分の興味のある分野を専門とする先生のゼミを選ぶことができます。私は2年生の前期は平井先生の哲学ゼミ、後期は藤村先生の地理学ゼミを受講し、どちらの授業でも非常に楽しみながらたくさんのことを学びました。平井先生のゼミでは、人間の記憶方法について知るために脳の動きや反応などについて勉強しました。たとえば、授業中にパソコンでパワーポイントを作成し、スライドの動きや速さに関する実験を行って自分自身で脳反応の速さを体験しました。さらに夏休みには、ゼミの皆と一緒に長崎の軍艦島へ旅行し、よい思い出を作ることができました。地理学を専門とする藤村先生のゼミでは、人口や統計データなどを分析するために、エクセルの使い方を勉強しました。私のような日本で就職したい外国人留学生にとって、日本語以外の技能を習得すると、内定取得のチャンスが増えますので、藤村先生の授業で勉強したことは、就職活動を進めていく上で非常に役に立ちました。
 
(2年生のとき、平井ゼミで長崎の軍艦島に旅行をしました。皆と一緒に出掛けて非常に楽しかったです。後列右から3番目が私です。)

 私が留学生として、文化学科に入学したのは、日本など異文化を理解し、自分自身の知識を深めて将来の仕事に役立てたいと考えたからです。文化学科2年生の必修科目「哲学の基礎」で、宮野先生の話された「哲学は、当たり前のことを疑う」という言葉は、私の座右の銘になりました。学問や自分自身の生活で様々な出会いを経験し、人と交流する際、自分の理解と違う考えを勉強して、知識がさらに広がると思います。その一つのきっかけとして、3年生から今まで古代中国哲学を専門とする中村未来先生のゼミを選び、私が生まれ育ってきた中国文化は、日本でどのように考えられているのかを学んでいます。授業では、中国古文などの読解が中心です。香港の高校で学んだことも活かして、ゼミの参加者は疑問などがあるときも、自分自身の知識を活用して答えられますので、先生のゼミに参加して非常によかったと思います。また、中村ゼミでは、大分県日田市にある咸宜園〔かんぎえん:江戸後期の儒学者・廣瀬淡窓が開いた私塾〕を訪れました。私たち最初は日田市内で観光し、ご当地のグルメを満喫してから、咸宜園で文化体験をし、紙を糸で綴じた和本や印鑑を作ったりしました。文化学科に入ったからこそ、こんなにゼミ旅行や実践学習のチャンスが多いと思います。留学生の私にとって、これらは非常に貴重な学びの場となりました。
(3年生のときの中村ゼミでは、日田市の咸宜園へ旅行しました。右端が私です。)

 また、人文学部の留学生は、1年生と2年生のときに、必修科目として、大学での学習に必要な日本語能力を高めるための「日本語」という授業を取ることになっています。この授業を通じて、大学の授業を理解したり発表を行ったりする際に必要な水準の日本語を学べます。特に、2年生の「日本語」の授業は、就職後に職場などで利用する日本語やマナーなども勉強できて、日本で就職したい留学生にとって非常に役に立つ授業でした。さらに、留学生は少ないからこそ、すぐ友達になり、立場は同じなのでお互いにこの4年間の学習を支える仲間になります。
(留学生の友達と文化学科の友達とで一緒に遊びに行きました。お互いにふれあうことで、異文化を理解することができます。学生生活の楽しい思い出の一つです。)

 文化学科に入って、外国人の私は、自分自身の出身とは違う異文化に出会いました。そして学問や学友との交わりを通じて、お互いが理解しあえることを学びました。最近、私は、日本のある大手企業からシンガポール海外駐在事業の内定をもらいました。これも、文化学科で学んできた成果の一つです。残りの学生生活を大切にしながら、さらに学びを深めていきたいと思っています。