2021年8月23日月曜日

私がワクチンを接種する理由

 「教員記事」をお届けします。今回の寄稿者は、社会学の開田奈穂美先生です。


新型コロナウイルスの感染状況が悪化し、福岡県でも過去最多の感染者数を記録しています。学生のみなさんはワクチン接種はできたでしょうか?

私は福岡大学の学生と教職員が接種可能になった7月上旬に1回目の接種をし、8月上旬に2回目の接種まで終えました。2回目の接種時の副反応が重いと聞いていたので、事前に準備をして身構えていました。しかし結果的には、接種当日の深夜に体の痛みで鎮痛剤を飲んだのと、翌日夕方にすこし発熱した程度ですみました。


接種会場に向かうためのシャトルバスの整理券

さて、若い人の中にはワクチンを打ちたくないという人もいるかもしれません。私が7月上旬にゼミで学生に尋ねた時も、大学を通じて接種した、または予約したという人は思ったよりも少なかったです。私は医学の専門家ではないので、ワクチンそのものの効果について何か言うことはできません。ですが、いままで自分の意思でワクチンを接種してきた経験から、接種しなかった場合に困ることについて書いてみようと思います。
 
ワクチンを接種しなかった場合に起こりうることで最悪の事態は、その感染症にかかって病気になってしまうことですが、それ以外にもあります。ひとつは費用の問題、もうひとつは職業上の問題です。

ひとつめの費用の問題について。ワクチンはたいてい、いつでも誰でも無料で接種できるというものではありません。年齢や性別などの条件にあてはまらないワクチンは自己負担が発生します。私は成人してからMRワクチン(麻疹・風疹混合ワクチン)を2回、HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)を3回接種しました。これ以外にも、機会があればやはり自己負担でインフルエンザワクチンを接種しています。MRワクチンとHPVワクチンについては、いずれも無料で接種できる時期を過ぎていたため、自己負担が発生しました。MRワクチンは1回目が8000円、2回目は自治体の補助金が出たため自己負担は3000円。HPVワクチンは1回18000円×3回でしたから、痛い出費になりました。ワクチンは無料で接種できる時期をなるべく逃さない方が良い、というのが一つの判断基準です。

もうひとつの職業上の問題ですが、これは職業によってはワクチン接種歴の情報を求められる場合があるということです。私が教員として福岡大学に着任することが決まった際にも、風疹ワクチンの接種歴を申告することが求められました。私が上述した麻疹・風疹混合ワクチンの2回目の接種を行ったのは、このことがきっかけです。これも、補助金を受けるには一度抗体検査を受けてから接種するしかなかったため、時間と手間(と自己負担分のお金)がかかりました。

特定のワクチンを接種しなかった場合、あるいは接種したかどうかわからない場合には実習に参加できないなどの不利益が生じる場合もありますし、ワクチンは一度にたくさん接種できるものでもありません。医療関係や教育関係の職に就くことを考えている人には注意が必要ですし、今回の新型コロナウイルスワクチンでは、海外の航空会社などでも接種を義務化する動きがあります。

ここで書いた以外にも、どの程度感染症のリスクが差し迫っているか、現在明らかになっていない不利益があるのではないか、など判断する基準は色々あります。そして、残念なことですが、歴史的に見れば、確かにワクチンが原因となった健康被害は過去にありました。
ワクチンの成分に問題はなくとも、注射針の使いまわしでB型肝炎に感染する人が出るという事故も生じました。


こうした経緯を考えれば、打ちたくないという人を無知だと非難することはできません。
ワクチンは集団免疫をつけて感染症に立ち向かうための手段ですが、それを推進するための体制に不備があったせいで、ワクチンに対する不信感が根強く残ってしまうのも仕方がない、と私自身は思っています。それでも私が、自分の意思で、なるべくワクチンを接種しようと考えるきっかけになった記事を紹介します。


ワクチンが開発されて接種が推奨されているということは、その感染症が決して放置して平気なものではないということを意味しています。今回の新型コロナウイルスに関しても、決して放置して状況が改善することはありません。接種できる人はなるべく接種することをおすすめします。そして、今後何が起こるのかわからないという心配があるという人も、別に心配はしていないという人も、接種した記録として接種券は大切に保管してください。その記録が、今後みなさんを守ることになります。






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