2020年3月25日水曜日

ディズニー映画からみる海外の妖怪文化


LC17台 粟田来実

こんにちは。人文学部文化学科3年の粟田です。
私は、昨年受講していた林ゼミのレポート課題で、「日本の妖怪文化浸透の過程について」という題材で日本の妖怪文化の考察をしました。

人気アニメーション・ゲームの「ポケットモンスター」や「妖怪ウォッチ」、映画でいえば「千と千尋の神隠し」や「バケモノの子」などの作品を通じて、近年、妖怪という存在は非常に親しみやすいものになったと思います。日本で受け入れられやすい妖怪像の特徴は、より可愛らしくキャッチ―なイメージものが多いですよね。

では、海外の妖怪文化はどうでしょうか…?
今回は、海外の有名長編アニメーション作品であるディズニー映画を用いて、海外で受け入れられている妖怪像を自分なりに考察してみようと思います。

日本で妖怪というと、妖(あやかし)や物の怪、幽霊など混同してしまいがちですが、海外では化け物や怪物の類をモンスターといい、幽霊の類をゴーストと呼んでいますので、日本のようの曖昧さは回避しているように感じます。

1つ目の作品「モンスターズ・インク」(2001
この作品は題名にあるように、モンスターたちが主役の映画です。この映画に出てくるモンスターは、冒頭では子供を怖がらせる存在として描かれています。ですが、後々には、子供を笑顔にする存在に変わります。なお、この映画が作られた背景には、様々な映画やゲームなどの影響で、モンスターを怖がらない子供が増えたことがあるのでしょう?

2つ目の作品「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(1993
この作品は、ハロウィンタウンに住まうゴーストたちが主役の作品です。こちらもゴーストたちは人間に悪戯をしたり、怖がらせることが大好きであるというふうに描かれています。

日本は物や動物に霊魂が宿るアニミズムの概念がありますよね。海外にはこのアニミズムがほとんどありません。海外のホラー映画を見ても出てくるのは、ゾンビであったり、幼い少女の霊だったりと、主に死んだ人間が蘇るか怨霊になって現れるものが多いイメージが強いです。

しかし、この「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」に出てくるキャラクターを見てみると、骸骨あたまの主人公、ジャックはかかしであったり、ヒロインのサリーは死体から作られた人形であったり、ジャックのペット、ゼロは幽霊犬であることから、海外にアニミズム的文化が全くないとは一概に言えないということがわかりますね。

どちらの作品も、日本と同じで、人間を怖がらせる存在として、モンスターやゴーストを描いているのがわかります。ですが、日本の妖怪は時に幸をもたらすものであったり、付喪神と称して尊い存在として扱われたりもします。海外では、妖怪イコール神とは、とても結びつかない考えでしょう。

そして日本と海外の妖怪の違いの大きなポイントは、人間に直接的に危害を加えるかどうかだと思います。海外では、モンスターやゴーストは直接的に人間を襲うから怖いというイメージを与えているのではないでしょうか。その反面、モンスターは実は繊細な心を持っているという裏設定をつけ、一方的に嫌われ者扱いのような「泣いた赤鬼」的要素を加えて親しみやすいものにしている感じがしますね。とはいえ、結末はモンスターやゴーストはいいやつ!なので、結局は日本も海外も妖怪の存在自体を受け入れている姿勢は同じようですね。

今回取り上げた2つは、ディズニー映画のごく一部の作品なので、ホラー要素の含まれる作品はまだあるかもしれません。また、ディズニー映画はアメリカのものなので、他の国のホラーアニメーション作品からも読み取れるものはあるのではないかと思いました。

文化学科に入るまでは、自分の好きな映画を文化的な視点で見たことがなかったので、いつもとは違った面から一つの作品を見てみるのもいいなと感じました。そういうことに気付けるのも、この学科の面白さだと思います。

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