4月13日(土)に中央図書館多目的ホールで、新入生を対象とした文化学科ガイダンスゼミナールが開催されました。ガイダンスゼミナールとは、文化学科の新入生が、これからの4年間「文化学科で何を、いかに学ぶか」を具体的に知ってもらうための催しとして、毎年開催されています。
本年度のテーマは「文化学科で考える<みる-見る、視る、観る->」です。司会の植野健造先生から具体例がいくつか紹介される形で、ゼミナールはスタート。最初に、佐藤基治先生が「心理学の立場から「みる」について」話題提供され、続いて、落合桃子先生が「美術史の立場から「みる」について」話題提供されました。
心理学は、人の「みる」ことに関わるメカニズムを実証する学術領域であり、芸術学・芸術史は、「みる」ことを通して作品を理解し、その意味や特徴(美しさ、素晴らしさ)などを考える学術領域です。佐藤先生は、人間が、ちぎれた雲を動物のように見たり、自然にできた岩肌の形を生き物に見たりと、人間の「知覚」を司る脳の機能に由来した「みる」ことの認知的な仕組みについて、心理学の立場から参加者の関心を誘いました。落合先生は、人間が美術史の過去に作り上げて奨励してきた「春」のイメージとはどのようなもので、その美しさがどのように作品に実現されてきたのか、美術史の立場から参加者の関心を誘いました。
その後、新入生は、基礎演習のクラスごとのグループに別れ、「春を感じるもの」や「不思議に見えるもの」を、実際に新しく生活を始めたばかりの学内で、写真に収めるよう課題が出されました。新入生は会場から出て、自分の足と携帯電話のカメラを使って、新しく学んだ「みる」ことを意識しながら、貴重な写真を探しに学内へ向かいました。
こうして集められた写真について、各グループが発表しました。グループごとに、実に様々な写真を集め、人間の「みる」ことを意識した、創造力にあふれた写真が並びました。この課題を通して参加者は、普段何気なく行っている「みる」行為が、実は私達の文化によって形づくられ、それゆえに、ミステリーに富み、人間の文化的活動にとって本質な行為であるのか、気づくことができたのではないかと思います。
人文学とは人についての学問であり、文化学科は、人と文化の関係を多角的に学ぶ学科です。人と文化の関係を学ぶ際にもっとも重要な姿勢は、人が文化の中で、何を、どのように創り上げてきたのか、このことに敬意と学術的な興味を持って接する姿勢です。今回は、写真を集めるという直感的な方法を用いましたが、新入生の皆様は、今後の講義や演習などで、より学術的に専門的な方法で学ぶことをお楽しみ下さい。
ゼミナール終了後は、人文学部棟最上階にあるレストランにて、新入生歓迎パーティーが行われました。参加者の皆で、これから始まる大学生活を共にする友人や先生と、「春」を分かち合うひとときでした。
新入生のみなさんは、まさに学問の扉を開けたところです。今回のガイダンスゼミがその指針になることを祈っています。
最後になりますが、この会を開催するにあたって、講義を引き受けてくださった佐藤先生と落合先生、司会の植野先生、そして、サポートを担当してくれた上級生の皆さまに心より御礼申し上げます。
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