2017年11月18日土曜日

「時間が止まる」視覚現象の解明(LC16台 宗雲菜生さん)

 今年度12回目の学生記事をお届けします。LC16台の宗雲菜生さんが、所属している佐藤基治先生のゼミについて、自分たちで実際に行った実験の内容を中心に紹介してくれました。



「時間が止まる」視覚現象の解明


LC16台 宗雲菜生

 この記事では、佐藤基治先生のゼミについて取り上げたいと思います。

 佐藤先生のゼミでは、心理学についての理解を深めることが出来ます。

 心理学とは、人はどういった心境の時にどんな行動をするのか、身体はどう反応するのかという、心と行動、身体のメカニズムを解明していく学問です。

 その中でも佐藤先生は認知心理学を専攻されており、このゼミでは知覚、記憶、思考など人間の心的機能の研究をしています。

 ゼミでは、3人~4人で1グループを構成し、それぞれの興味のあるテーマを決めます。私たちのグループが興味を持ったのは「時間が止まる」というテーマです。「時間が止まる」現象の例として一番に挙げられるのは、ふと時計に目をやると動いているはずの秒針が普通より長い時間止まっているように感じる、というものです。これは「クロノスタシス(Chronostasis)」という錯覚現象で、対象から対象へ素早く視点を動かす「サッケード(Saccade)」という眼球運動が関係しているそうです。このテーマの研究をしようと決めた理由は、私も秒針が長い時間止まって見えた経験があり、その現象には心理的なわけがあるということに驚き、興味を待ち、それを知りたいと思ったからです。テーマが決まると、それを実験するにあたって、どのような背景があるのか、実験の目的は何か、どのような実験を行うのか、結果の処理の方法はどうするのか、そしてどのような結果が予測されるのかを、スライドにまとめ発表します。他のグループに発表を聞いてもらい、質問を受けたり、疑問点を聞いたりアドバイスをもらうなどして、研究のやり方を見直し、改善します。

 私たちのグループの実験は、被験者に、モニターの左上にあるX印を見ていてもらいます。数秒後にモニターの右下に「0」の数字が表示されます。表示された瞬間にサッケードをして「0」を見てもらい、「0」から「1」「2」「3」「4」とカウントアップされていく数字を見てもらうというものです。「1」「2」「3」「4」の数字が切り替わる間隔はぴったり1秒なのですが、「0」から「1」の間隔は0.8秒から1.2秒と様々なパターンを作りました。そして「0」から「1」の間隔が他の数字の間隔と比べて短いか、同じか、長いかを識別してもらいました。その結果、「0」から「1」の間隔を他の数字と同じ1秒にしたとき、1秒より長く感じている人が50%いました。なぜこのように実際より長く感じてしまうのかというと、対象から対象へと視点を移している間の風景は、私たちの脳内では無視しているため、視点を動かしている間にカウントされている数字を見てもそれを理解するのが遅れ、時間を普通より長く感じるそうです。

研究室ではパソコンなども使えます

 このようにして、このゼミでは、グループで考え、意見を出し合い、まとめて、1つのテーマについて理解を深めることが出来ます。そして、佐藤先生は、私たちの研究にとても協力的で様々な資料を用意してくださったり、心理学の研究室を開放してくださいます。そのため授業が無い時や、少し時間が空いたときなどには研究室で勉強をするなど有意義な時間を過ごすことが出来ます。また、研究に関係すること以外にも、佐藤先生から心理学に関する色々なお話を伺うことが出来ます。親しみやすい環境で心理学の学習・実験に携わることができるのが、佐藤先生のゼミの特徴であると思います。

空いた時間は課題などが出来ます

 私たちは日常の中で、心理的な現象を度々経験しています。それは、私たちが意識していないうちに起きているものもあれば、経験した後に不思議に思うことなど様々です。それらの身近な現象の原因は、心理学の実験をしてみなければければわからないので、興味がある方はぜひ文化学科の佐藤ゼミで認知心理学を専攻してみませんか。

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