2022年3月21日月曜日

「全国地理学専攻学生卒業論文発表大会」で学生が発表を行いました

 地理学の藤村健一先生より、イベントの報告をいただきましたので掲載いたします。


 3月14日、日本地理教育学会の2021年度全国地理学専攻学生卒業論文発表大会が開催され、文化学科の4年生2名がそれぞれ発表を行いました。

 これは、各地の大学で地理学を専攻している学生が、それぞれの卒業論文で扱った研究内容を発表する学術大会です。今回はオンライン(Zoom)で行われました。

http://www.geoedu.jp/sotsuron.html

 発表者の氏名と題目は次のとおりです。

・阿南咲良さん:「杵築城下町の近世の火災被害と被災地域の現状・課題」

・若林優大さん:「「散村地域」・出雲平野の集落の形態とその変遷―出雲平野東部を中心に―」


 阿南さんの研究は、伝統的建造物群保存地区のある大分県杵築市の城下町が対象です。まず、近世に杵築城下町で起きた火災の被害分布を地図に示し、城下町の中でも特に火災が頻発した3つの地区に焦点を当て、その要因を考察しました。さらに、3地区の現状をフィールドワークで確認し、これらの地区では今でも火災の延焼の危険性が高いことを明らかにしました。

阿南さんの発表の一場面
阿南さんの発表の一場面

 若林さんが対象にした島根県の出雲平野は、富山県の砺波平野と並んで、「散村」(民家が密集せず散在している村落)が多い地域として知られています。しかし、若林さんが新旧の地形図で出雲平野東部の村落の形態を1つ1つ分析した結果、ここでは大正期の時点ですでに「集村」(民家が密集する村落)が卓越しており、その後も現在までの間に散村の集村化が進行していることが明らかになりました。

若林さんの発表の一場面
若林さんの発表の一場面

 お二人の発表にはそれぞれ40~50名程度の聴衆が参加しました。発表のあとの質疑応答では複数の参加者から質問がありましたが、お二人ともしっかりと応答していました。二人とも、みずからの発表に手ごたえを感じていたようです。また、他の学生の発表に聴衆として参加し、大いに刺激を受けた様子でした。

 各発表の要旨は後日、同学会の学術誌『新地理』に掲載されます。二人とも、今回の発表で自分の研究を多くの人々に知ってもらう機会ができて良かったと話していました。

 お二人は3月19日に卒業し、4月からは社会人となります。今回の経験は今後それぞれのお仕事の中で活かされると思います。


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