2015年4月29日水曜日

第六回「マンガde哲学」開催


四月二八日火曜日の夕方、A610教室でLC哲学カフェが開催されました。「まあっもったいない?――『ミノタウロスの皿』で哲学する」が今回のタイトル。時間帯が悪かったのか、学生諸氏の参加者は僅か三名、教員が二名。

題材は藤子・F・不二雄の短編。地球から飛び立った主人公が不時着した星では、人間と牛の立場が逆転しており、ズン類(牛)がウス(人間)を食べている。「牛が人間を食うなんて、そんなベラボーな!」と憤る主人公に、美しいウスの少女ミノアは「まあっもったいない」。「ただ死ぬだけなんて……なんのために生まれてきたのか、わからないじゃないの」。

或る参加者の、「郷に入りては郷に従え」なので問題ない、という意見からスタート。地球では人間が支配者、この星ではズン類が支配者。支配者の方が知能が上のはず。知能が上のものは下のものを食べても良い……?

他方、知能ではなく感覚に注目すべき、という意見も。道徳にとって重要なのは知能ではなく感覚。苦痛を伴うような行為は許されない。ウスも痛みを感じるだろうから、そのウスを食べることは許されない……?

知能と感覚、どちらが大切なのか。或いは、崇高な存在は食べてはいけない? しかし、崇高さとは何か。神?

ところで、もし地球でも牛と会話できたならば? もう牛を食べなくなる? しかし、ズン類とウスが会話できるこの星で、ミノアは食べられることを名誉に思っている。そのように思わせているものとは何か。

牛の意志を確認しない地球での肉食と、ズン類とウスが「ふかーい友情」で結ばれているこの星での肉食と、どちらの方が残虐なのか。人格、ピーター・シンガー、種差別、数、歴史、聖なるもの、美しい生と死、ソクラテス、等々の言葉が次々と繰り出された挙句、最後は某テレビ番組の、知能を持つイカが君臨する未来の話で終了。


今回は残念ながら、今までで最も少ない参加人数。しかし、道元曰く「衆の少なきを憂うること莫れ。身の初心なるを顧みること莫れ」。たとえ細々とでも、哲学カフェは続きます。ただし、次回は別の時間帯に――。哲学に興味のある人もない人も、ぜひ一度、LC哲学カフェへ。

0 件のコメント:

コメントを投稿